安養寺は浄土宗西山禅林寺派に属する寺院で、文明5年(1473)に朝倉孝景により建立されたと伝えられています。天文16年(1547)、17年(1548)には、著名な儒学者である清原宣賢が『大学』『中庸』の講義をおこなった寺であり、一乗谷の寺院の中でも格式の高い寺院でした。天正元年(1573)一乗谷滅亡のときに焼かれたものと考えられており、発掘調査では、数棟の建物と石垣、溝、池などの寺院跡の一部を確認することができました。出土遺物の中に「柿経」(こけらきょう)などの仏教用具が含まれていることから、ここに寺院が存在していたことは間違いないものと考えられます。また、これらの建物群の背後にある小さな谷内には、現在も多くの石塔類が残っています。